普通に使用してるのに事故!?建築物事故事例集
建物を正しく管理できなかったり、所有している建物が違法建築物であったりすると、事故が発生するリスクが高まります。管理不足の建物や違法建築物を所有していると、事故発生時に所有者に大きな責任が課されることがあります。
そこで今回はこんな建物には気を付けろ!というポイントをご紹介していきます。
通常使用時における発生事故
以下は、国土交通省が開示している建物で起きた事故の事例です。
- 3階建て店舗の北側外壁1面分のモルタルのほとんどが崩落し、隣接住宅の窓が破損した。
- 地上4階建の共同住宅において、3階外部廊下のRC製の床及び手すりの一部が崩落した。
- スポーツクラブ内の屋内プールで、空調ダクトが落下して、従業員が頭部及び下腿を打撲した。
- 中学校のプール更衣室天井からコンクリート片が落下し、生徒1名の側頭部に接触した。
- 鉄筋コンクリート造の屋上庇が崩落し、その一部が駐車中の車に落下して車内にいた2名が負傷した。
通常通り使用していても、事故が起きるケース
外壁の落下
外壁モルタルの支持部材の腐食や台風の影響で落下する場合があります。
RC製の床と手すりの崩落
築年数が古いと老朽化に伴い崩落する場合があります。
空調ダクトの落下
ダクトを天井から吊る金属バンドが腐食により破断し落下する場合があります。
天井からコンクリート片が落下
コンクリートの中性化により鉄筋の錆、及び膨張によりコンクリートを剥離・落下させる場合があります。
コンクリートの中性化とは
空気中の二酸化炭素の作用を受けて、コンクリート中の水酸化カルシウムが徐々に炭酸カルシウムになり、コンクリートのアルカリ性が低下する現象。
鋼材の周囲を包んでいるコンクリートが中性化すると鉄筋の不動態被膜が破壊されるため、水や酸素の浸透により鉄筋がさび、耐久性が損なわれます。
上記の事から、築年数が古い物件に関しては、定期的に専門家にチェックしていただく必要があります。
劣化箇所を事前に確認することで、将来の大きな事故を未然に防ぐことが出来ます。
また、そもそも違法建築物を所有してしまわないよう、建築前、所有前には以下の記事を事前にチェックしておきましょう。
災害時に事故が起きるケース
続いて災害の際に事故が起きるケースについてご紹介します。
以下は、熊本地震における建築物被害の原因分析に関する資料です。
上記の資料によると、建物が新耐震基準か旧耐震基準かにより大きな差があることが分かります。
※旧耐震基準……建築物の設計において地震に耐えることのできる構造の基準で、1981(昭和56)年5月31日までの建築確認において適用されていた基準。
※新耐震基準……旧耐震基準の翌日以降に適用されている基準。
旧耐震基準は、震度5強程度の揺れでも建物が倒壊しないように構造基準が設定されているのに対して、新耐震基準は、震度6強~7程度の揺れでも倒壊しないような構造基準が設定されています。
新耐震基準導入以降のものについても、接合部の仕様が不十分であったものに倒壊が多く見られたことから、こうしたものの被害の抑制に向けた取り組みが必要です。
また、新耐震基準導入以降に建築された鉄骨造建築物で倒壊したものは、接合部の溶接不良など新耐震基準を満たしていないもの(違法建築物)でありました。
鉄筋コンクリート造建築物は、新耐震基準導入以降で倒壊が確認されたものはありません
まとめ
建物に起因する事故は起きるべくして起きています。
リスクと発生原因を理解することで、事故は未然に防ぐことが出来ます。
所有している物件は違法建築物ではないか?修繕が必要な部分はないか?一度確認してみてはいかがでしょうか。
弊社でも建物の診断チェックや相談を受けることが出来ます。
どうぞお気軽にご相談ください。