愛知県半田市を基盤にしている沢田工務店が運営しており、建築から不動産の情報を発信しているメディアブログです。

企業不動産の最適化   ~拠点集約によるコスト削減~
資産運用

企業不動産の最適化 ~拠点集約によるコスト削減~

企業が保有する不動産を活用したCRE戦略が注目される中、昨今ではコロナウイルスの影響によりビジネス環境が変化してきております。
業績や業態の変化に伴い、拠点・オフィス環境見直しを考えられている企業も増えてきているのではないでしょうか。
企業不動産にかかる維持費や修繕費、賃貸であれば管理費や共益費など根本的なコストを見直す事もCRE戦略において大切な要素です。

今回は拠点の集約によるコスト削減について紹介していきます。

CRE戦略とは?

以前の記事でもご紹介しておりますが(CREの直接的効果~キャッシュ・イン・フローの増加~)CRE戦略とは、企業が保有する不動産の管理や運用のやり方に関して、不動産投資の適切な見直しを行うことにより利益を最大限に引き出して企業価値を高めていく取り組みのことです。

企業不動産の効率性低下等に伴って発生する様々なロス、収益機会を企業が見逃していることを認識し、損失を分析・評価することが重要です。

その上で、その目に見えないロスの発生を食い止め、収入の増加機会に結び付ける方策を考えることになります。

拠点集約のメリット・デメリット

拠点を集約するにもコストや労力がかかり、簡単に即決できることではありません。
まずは拠点の集約にはどんな効果があるのか整理していきましょう。

メリット・デメリットをまとめると以下のようになります。

メリット

  • 不動産コスト(建物、設備の維持費、修繕費等)を削減できる
  • コミュニケーションがスムーズにできる
  • 在庫管理コストが削減できる

デメリット

  • 遠隔地への移動、配送コストがかかる
  • スペースが減少する(オフィス・倉庫等)
  • 災害、感染リスクが増える可能性がある

複数ある拠点がまとまる分、建物の維持費や修繕費だけでなく、拠点から拠点へ往復する事で発生していた運搬費等のランニングコストが減ることで、将来的なキャッシュフローの向上が図れます。
しかし、商圏が広範囲の場合は納品先や取引先が遠方になってしまい新たに移動や配送のコストが増加する可能性もある為、ご自身の会社が商圏に合わせた拠点数であるかどうかを見極める必要があります。

また、各所に分散していた社員がまとまる分コミュニケーションがとりやすくなり組織内の連携はより深まると考えられますが、1か所に人が集まることで感染や災害のリスクが増える可能性があります。

BCP対策(事業継続計画)という観点ではリスクを集約させてしまうのでは…とも捉えられますが、拠点集約には高台への移転など、リスクマネジメントにおいて重要な目的が他にもあり、拠点を集約させる事自体がリスクを集約させる事に直結する訳ではありません。
テレワークや時間差出勤などを上手に使い、対策を講じれば拠点事態を集約させる事は充分に可能だと思います。

いずれにしても、前述とは関係なくこれからの時代は社内独自での感染対策・規則の徹底は必須となるでしょう。

次に、実際に拠点を集約させた企業がどれだけのコスト削減に繋がったのか、事例を紹介していきます。

事例1.石油化学メーカーA社の場合

石油化学メーカーA社では全国各地に30か所以上の倉庫があり、管理が煩雑になっており、倉庫間の移動も多く余分な輸送コストでも圧迫されていました。また、倉庫内に長期間滞留する在庫も存在していた為、庫内スペースを効率よく使用できていませんでした。

そこで改善策として外注の管理センターを利用して30か所以上あった拠点を3か所に集約し、各地の倉庫にかかっていた賃料も削減することができ結果的に20%の物流コストの削減に成功しました。

事例2.食品メーカーB社の場合

食品メーカーB社では事業の拡大とともに都度工場を増設してきた為、同一エリア内に出荷場と倉庫を併設した工場が複数点在し、あちこちに在庫が存在している状況にありました。
そこで解決策として工場を1つに集約、物流機能も必要最低限に集約し、物流パターンを整理したことにより、15%の物流コストの削減のほか、生産効率の上昇、納品サービスの品質向上にもつながりました。

拠点を統廃合させる際にかかる初期コストと、現在既にかかっているランニングコストを試算してどちらの方がコストを抑えられるか、いま一度整理してみるのも大切な事です。

まとめ

今回は企業の不動産を減らすことによって得られる効果の中で最も期待される「コスト削減」について取り上げましたが、その他の効果として、資産のオフバランス化(資産を減らしてバランスシートの圧縮を行う事で企業価値の向上を図るという考え方)などもあります。

このように拠点を集約させることで得られる効果は大きいものですが、これまでの事業計画を変化させる大きな決断となります。

まずはご自身の会社の事業、経営状態、今後の事業計画と照らし合わせて、いかに生産性や企業価値の向上に繋がるかなど、CRE戦略の中であらゆる角度から見て、冷静な判断が必要になります。

page-top

スクロール
© 2019 SAWADA construction All Rights Reserved.